目次
②△7四歩の変化
第1図は、前回の第2図(▲9八角と打った局面)以下②△7四歩としてきた局面。
本筋の③△3五歩の変化のところで出てきますが、9八の角はこのあと▲8六歩〜▲7五歩と突いて角道を通すことで活きてきます。この▲7五歩を事前に防いでおこう、というのが②△7四歩の意図です。
これに対しては強く戦います。
第1図以下の指し手
▲4六歩 △5四角
▲8六歩 △7三桂
▲6七歩 △同 歩
▲同 金 △6六歩
▲同 金 △同 銀
▲同 銀 (第2図)
意外な6筋からの逆襲
次に△3五歩と突かれて△3四角と引かれる展開になると角に威張られて厄介なので、▲4六歩は真っ先に突いておきたいところ。そのあと、▲6七歩と合わせて後手の勢力が強い6筋から動いていくのが見えにくい構想です。
△7三桂と跳ねて6筋をさらに手厚くされていますが、6五の地点は争点ではないので、意外にも桂が効いてきません。
第2図となって、後手から△8八金や△7八金があって先手ダメとしたものですが、これまた意外なことに踏み止まることができます。後手が歩切れなのがポイントです。
自分で書いておきながら「意外」とあえて表現したのは、この変化をコンピュータ将棋ソフトに教えてもらい、この記事をはじめに書いた2004年〜2007年当時のものから加筆・修正しているからです。
当時独力で研究したときには▲6七歩の合わせは見えておらず、別の変化を解説していました。
△8八金には
まず第2図から△8八金と角取りに打たれると、▲同飛では飛車がそっぽに行かされるうえ△6六飛と悠々進出され(以下▲6八歩には△7九銀)、先手がまずいようですが、切り返しがあります。
第2図以下の指し手(1)
△8八金
▲6三歩! △同 飛
▲6四歩 △同 飛
▲5五銀打!(第3図)
手筋の歩のたたき
実は△8八金に対し▲同飛△6六飛▲5五銀と進めても先手良し(+1000点以上)なのですが、竜を作られて人情としては気持ち悪いところがあります。
歩のたたきの連打のほうが、他の場面にも応用が効く覚えておきたい実戦手筋です。
▲5五銀打で6六銀にひもを付ければ、飛車を逃げる手には▲8八飛と金を取ってもちろん先手必勝形。△6六飛にも▲同飛と取って大優勢です(+1000点以上)。
よくよく考えると、△9八金と取られても▲同香で角金交換程度であり、遊んでいる角がさばけるのでさほど痛くありません。
△7八金には
第2図以下△7八金と打たれるのも一見怖い変化ですが、これも大丈夫です。
第2図以下の指し手(2)
△7八金
▲同 飛 △6六飛
▲6八歩 (第4図)
歩切れがたたる後手
△7八金にはあっさり▲同飛と取ってしまい、△6六飛には▲6八歩とおさめておきます。△8八金▲同飛△6六飛▲6八歩の場合は△7九銀で壊滅でしたが、7八に飛車がいるのでこの筋がありません。後手に一歩あれば△6七歩の合わせが厳しそうですが、無い袖は振れません。
第4図では▲5五銀があるので△6二飛と引くくらいですが、それでも▲5五銀〜▲6四金などの筋で後手の飛車角を圧迫したあとの▲7五歩が、先手の飛車と角がいっぺんに働き出す絶品すぎる一手で、気分的にも評価値的(+1000点)にも先手大優勢です。
以上で②△7四歩の変化の説明を終わります。
次回からは、本筋の③△3五歩以下の展開について説明します。
次回
次回
VS右四間かんたん講座 第3章・第3節 ▲9八角以下の構想 その3
第1図は、前々回の第2図(▲9八角と打った局面)以下本筋の③△3五歩としてきた局面です。△3五歩の意図は、角を3四に引けるようにすることにあります。こちらに引けば、先手の角は9八の位置から容易には動けず(△8九角成があるため)苦心するだろう、という狙いです。先手の次の一手は、優先的に指しておきたい一手です。
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