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猫だましから角道オープン三間飛車へ
第11期マイナビ女子オープン 五番勝負第3局、▲西山朋佳奨励会三段 対 加藤桃子女王戦。
棋譜と詳しい解説は、マイナビ女子オープンのWebサイトで観ることができます(2018年5月時点)。
1勝1敗でむかえた第3局。
先手・西山朋佳奨励会三段は、意表の猫だまし戦法(初手▲7八飛戦法)を採用しました。
西山奨励会三段が女流棋戦で初手▲7八飛を指すのは本局がはじめてです。
初手▲7八飛自体は最近プロ棋界の振り飛車党の間で流行している初手であり、奇をてらった手ではありませんが、はじめての採用という点で加藤桃子女王は意表を突かれたことでしょう。
事前研究も手薄だったに違いありません。
そのまま角道が開いたまま駒組みが進みました(第1図)。
先手は左辺の駒組みを最小限にとどめており、後手の船囲いよりも先に美濃囲いが完成しているのが驚きです。
角道オープン三間からノーマル三間へ
第1図以下、△6四銀▲6六歩△7四歩▲6七銀△5二金右▲5六歩△7三桂▲4六歩(第2図)と進行。
△6四銀を見て▲6六歩と突き、ノーマル三間飛車へ。
角道を開けたままにして居飛車穴熊を牽制し続けてきましたが、後手が攻撃陣を進め、この後居飛穴に組むと左右のバランスが悪くなることを確認してからの、ノーマル三間への組み替えとも考えられます。
流れを呼びこんだ辛抱の一手
進んで第3図。
左辺を押しこまれて、振り飛車がやや苦しい局面かもしれません。
しかし、ここから▲7七歩が流れを呼びこんだ辛抱の一手でした。
桂と角が窮屈になりますが、相手にとってもすぐには攻め込めない形に。
その間に先手は玉頭からうまく手を作り、右辺に戦力を集めることに成功しました。
玉頭戦で圧倒
むかえた第4図。
先手としては左銀を活用したい局面です。
第4図以下、▲4五歩!とこじ開けにいくのが急所です。
以下、△4五同歩▲4四歩△同金▲2三歩△同玉▲5六銀△5七角▲4七飛△7九角成▲4五銀(第5図)と進行。
狙いだった左銀の活用が見事に実現。
この後、玉頭に強烈な厚みを築いて西山奨励会三段の快勝となりました。
初タイトル奪取なるか
これで五番勝負は西山奨励会三段の2勝1敗に。
初タイトル奪取となるか、加藤女王が意地を見せるか、注目です。
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