本記事は、2010年に書いた記事に加筆・修正を加えたものです。
目次
角道オープン石田流+振り飛車穴熊
2009年11月に行われた第3回朝日杯オープン戦二次予選・▲島朗九段VS△丸山忠久九段戦より。本局の棋譜と詳しい解説は、「第3回朝日杯棋譜一覧/過去の対局:朝日杯将棋オープン中継サイト」 で参照できます(2018年追記:残念ながら現時点では棋譜再生ページはリンク切れしていますが、以下の通り詳しい解説記事は残っています)。
初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛という駆け引きの末、先手・島九段の居飛車+左美濃 対 後手・丸山九段の角道オープン石田流+振り飛車穴熊の戦いとなりました(第1図)。
低い陣形を維持
第1図は、先手が▲8六歩と銀冠を目指した局面。後手としては、ここからどう穴熊を堅くしていくかがポイントです。
第1図以下の指し手
△5一銀
▲8七銀 △6二銀
▲7八金 △7四歩
▲6七金右 △5二金
▲6五歩 △3三桂
▲2六飛 △7三銀左(第2図)
△5四歩から△5三銀、または△4四歩から△4三銀という構想もありますが、△5一銀から△6二銀と進めるのが現代流。上記のサイトでの解説には、「角交換振り飛車の影響で、低い陣形のまま効率よく固める技術が進歩している。」 とあります。△5四歩を省略したおかげで、一手早く玉を囲うことができているのも利点の1つです。
争点を見極める
続いて、6・7筋方面で戦いが始まってむかえた第3図。
3・4筋は先手の飛車と金銀によりしっかり守られていて、後手がこの方面から突破するのは難しそうです。そこで、戦力を6・7筋方面に移動します。
第3図以下の指し手
△7五歩
▲同 歩 △3二飛
▲1五歩 △7二飛
▲6五桂 △5四歩
▲6六金 △3一角(第4図)
飛車を3二から7二へ。続いて角を3一に下げ、7五歩の地点を狙います。ほんの数手で、後手の勢力が玉頭へ結集しました。すばらしい構想力で、勉強になります。
飛車の働きの差
この後、華々しい玉頭戦となりましたが、後手が華麗に寄せ切り快勝。後手の飛車は投了図まで7二の地点に居座り続けましたが、攻めに守りににらみを効かせ、存在感抜群でした。一方の先手の飛車は、2六の地点から動くことなく、こちらは文字通り遊び駒となってしまいました。中盤の構想力により雌雄が決したといえるでしょう。
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