「天下分け目の関ヶ原」東西人間将棋
2018年5月27日に行われた、「天下分け目の関ヶ原」東西人間将棋、▲渡辺明棋王 対 △都成竜馬五段戦。
棋譜と詳しい解説、および対局者同士の掛け合いは、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます(2018年6月時点。有料)。
人間将棋は、盤を模した壮大なフィールドの上で人が駒になり、指し手のたびに対象の駒(人)が移動しながら対局を進める、スケールの大きな将棋です。
両対局者は、自然な指し手を選びながら、対局が終わるまでにすべての駒を動かす(取られて駒台に移動するのでもOK)必要があります。
また、対局者が着手のたびに指し手の感想を言ったり相手にちょっかいを出したりすることが可能です。
掛け合いの様子が棋譜再生のコメント欄で再現されており、面白いです。
都成五段の裏芸・後手番石田流
上記の通り、非公式戦の中でもとりわけエンターテイメント性が高い本局にて、後手番となった都成竜馬五段は4手目△3五歩から石田流を採用しました(第1図)。
徳川家康役だった渡辺明棋王はブログにて、
都成五段も雰囲気を合わせるためにヒゲを書いたり「石田三成だから」と石田流を持ってくるなど、盛り上げてくれました。
と説明しています。
ちなみに都成五段は2017年8月に行われた藤井聡太四段(当時)との非公式戦でも4手目△3五歩からの後手番石田流を採用し、しかも勝利しており、得意の裏芸なのかもしれません。
この対局については下記記事にて紹介しています。
渡辺棋王の地下鉄飛車
さて、第1図は後手石田流の意外性というよりも、先手陣の違和感の方が大きい局面です。居玉のまま歩と左右の銀のみを動かしています。
さらにここから金銀を盛り上げ第2図へ。
金、銀、歩を除けば▲7七桂しか指していません。
なにやらただ事ではない陣形ですが、さらにこの後ただ事ではない構想を披露してくれました。それが第3図。
8九の飛車は、3八→3九→8九と移動して実現した形です。縦に進むことを想定していたであろう飛車役の方にとって、想像を絶する動きだったことでしょう。
しかしさすがは渡辺棋王。このあと玉頭攻めの殺到から飛車を相手陣に成りこむことに成功しています。
歴史を変えた終盤戦
最終盤、渡辺玉に詰めろをかけて下駄を預けた都成五段。
渡辺棋王が都成玉を仕留められれば勝ち、という王手ラッシュをかけましたが、わずかに詰まず都成五段の勝ち。
将棋は逃げ出した西軍の石田三成玉を捕まえられれば史実通りだったのですが、僅かに詰まずに負けとなりました。
渡辺棋王はブログでこのように語っていますが、実は難解ながらも詰んでおり、渡辺棋王が詰まし損ねていたのでした。
限られた時間の中、しかもトークしながらの終盤戦。両対局者にとってはさぞ厳しくも充実した対局だったことでしょう。おつかれさまでした。
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