この記事は、2003年(一部2008年)に書いた記事に加筆修正を加えたものです。
初手▲7八飛戦法や2手目△3二飛戦法が当たり前となっている2017年現在、本講座に記載の内容には、今の認識とは異なる点がいくつもあります。
どこまで修正すべきかとても迷いましたが、検討の結果、これを書いた2003年当時の認識や将棋観をそのまま伝えることの価値を重視し、あえてほぼそのままとすることにしました。
今の認識とは異なる点もありますが、ご了承ください。
猫だまし戦法とは?
どの定跡書やサイトでも取り上げられていない(取り上げようともしない(笑))、変わった面白い戦法を紹介していきたいと思います。「戦法」とは言っても難しいものでありません。残念ながら先手番限定ですが、先手であれば、相手の指し手に関係なく絶対に使えます。
スタートは、いたってかんたん。初手に「▲7八飛」と指すだけです(第1図)。
初手から三間飛車を明示する、「究極の三間飛車LOVE戦法」ともいえるかもしれません。
この初手▲7八飛戦法を、「猫だまし戦法」と名付けました。
相撲の「猫だまし」との類似性
初手からすぐさま大駒同士がくっつくところを、立ち合いからいきなり両手をパチンと合わせる相撲技「猫だまし」と見立てています。当然、相撲技と同様初手▲7八飛は相手をかく乱できます。単なるこけおどしにもなり得るところも、この技と似ているかもしれません(笑)。
以下、相手が熱くなってきた場合は、まわしを取り合わない激しい戦いに。相手があわてず落ち着いて対処してきた場合は、何事もなかったかのように普通の落ち着いた戦いに(ただし猫だまし側は軽やかで素早い軽量級力士です)。相撲技と同じです。
「鬼殺し」との類似性
また、将棋の最も有名な奇襲戦法の1つに「鬼殺し」というものがありますが、本戦法の一変化に鬼殺しが含まれています。「鬼殺し」と「猫だまし」が語感がよく似ている、というのも命名理由の一つです。
ただ、「鬼すら殺す」戦法と「猫をだます」戦法では、 ネーミングの恐ろしさが段違いですね(^^;。
猫だまし戦法を好きになる条件
さてこの「猫だまし戦法」ですが、「普通の三間飛車じゃん」とか、「8筋受かるの?」とか思われるかもしれません。しかし意外や意外、以下の展開は、自分の土俵で戦える優れモノです。
ただしこの戦法を指すには条件があります。
- 升田式石田流(第2図)が好きであること
- 相振り飛車戦で、後手番感覚の陣形(角道を止めない、△5三銀型の陣形)が好きであること
なぜなら、これらの変化になりやすいためです。
次回は、初手▲7八飛の実戦譜を紹介します。
2008年3月追記
最近の研究で、何と初手▲7六歩に対する後手番猫だまし(2手目△3二飛)が成立することがわかりました。
詳しくは、「将棋世界」2008年4月号や、「週刊将棋」2008年3月5日号、12日号を参照ください。
なお週刊将棋では、この手を「いきなり三間」というネーミングで紹介しています。
とりいそぎ、ブログ「将棋の神様」でも紹介してみました。
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