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石田流本組み+振り飛車穴熊
先週行われた、第76期順位戦B級2組、野月浩貴八段 対 戸辺誠七段戦。
本局の棋譜と解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
先手・野月八段が3手目に▲9六歩と突き、序盤の駆け引きの結果、野月八段の居飛車+高美濃囲い 対 戸辺七段の石田流本組み+振り飛車穴熊となりました(第1図)。
なお、「将棋世界」最新号(2017年10月号)で、ちょうど振り飛車穴熊を特集中です。
上級者向きの石田流穴熊
この特集の中の、「振り穴党総裁の穴熊から学ぶ 怒涛流が棋界に遺したもの」(大内延介九段の追悼記事でもあります)のロングインタビューの中で、鈴木大介九段は石田流と穴熊の相性について、次のように語っています。
石田流の穴熊は組めたら最強ですが、手数が掛かりすぎるので現実的には囲うのは不可能です。
居飛車側が指を加えて動かなければ囲えますが、たいていの場合は攻めてくるでしょう。
これに加え、石田流穴熊に組めたとしても油断はできません。穴熊は駒が玉側に片寄るので、駒が上ずった形である石田流と組み合わせると、中央がより手薄になります。手薄な中央から食い破られないよう、うまくバランスをとる必要があります。
実際本譜でもこのあと、▲4三銀打(5二に金がいないので4三に打たれる隙がある)で飛車が死ぬのを避けるための△4五歩(第2図)と、▲5三角成を防ぐための△6三金(第3図。7二から移動)が現れました。
戸辺七段の巻き返しに期待
結果は野月八段の勝ち。
本局の序中盤構想と終盤戦について、戸辺七段が自身のブログに局面図入りでワンポイント自戦記を載せています。
負けた戸辺七段はこれで1勝3敗。負けが先行していますが、ここからの巻き返しに期待したいと思います。
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