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西山女王、2度目の初手▲7八飛戦法
2019年5月14日に行われた第12期マイナビ女子オープン五番勝負第3局、▲西山朋佳女王 対 △里見香奈女流四冠戦。
棋譜と詳しい解説は、マイナビ女子オープンのサイトか将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
女流棋界を代表する振り飛車党2人によるこのタイトル戦は、これまでのところ初戦は先手・西山女王の初手▲7八飛戦法からの力戦相振り飛車(第1図)、第2局は後手・西山女王のノーマル三間飛車(第2図)で、いずれも西山女王が勝利。
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そして迎えた第3局。西山女王の初手は、第1局と同じく▲7八飛でした。以下、△5四歩▲7六歩△4二銀▲6八銀△5三銀と進行(第3図)。
ここまでは第1局と同じです。以下、第1局では▲6六歩でしたが本譜は▲4八玉とし、前例を離れました。
角換わりの左右反転形へ
その後、先手の角道オープン型に対し後手から角交換し、角交換相振り飛車に。さらにしばらく進んで第4図となりました。
まるで相居飛車の角換わり戦法のようです。試しに第4図を左右反転させると、参考1図のようになります。
簡易的な矢倉の骨格(▲7七銀+▲7八金)にプラスしてバランス重視で中住まいに構える布陣は、今風の角換わりの布陣と言えるでしょう。
ちなみに、角換わりにおける▲7八玉型(△3二玉型)は先手番の方が多いので、さらに180°回転させると参考2図のようになります。
多様化する序盤戦術
相居飛車系の将棋が嫌だから、と振り飛車を好む方もいるかもしれませんが、コンピュータ将棋による新しい価値観(評価関数)の登場により、バランスさえ保てば序中盤は意外になんでもありということがわかってきた昨今、相振り飛車戦で本譜のように相居飛車の角換わりのような布陣を相手が敷いてくることも想定しなければなりません。
常に相手に合わせて居飛車VS振り飛車の対抗形を狙うのも難しく、戦法の多様化により大変な、いや、序盤からやりがいのある時代になったものです。
里見女流四冠、1勝を返す
本譜は第4図以下、西山女王の攻めを里見女流四冠が的確に受け止め、そのまま盤石の内容で勝利。1勝を返しました。
第4局で決着が付くか、はたまた里見女流四冠がタイに持ち込んで最終局にもつれ込むか、目が離せません。
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