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居飛車穴熊VS石田流組み換え
(参照サイト:将棋倶楽部24)
2018年11月、▲Hefeweizen対△某五段戦より(第1図)。
最近の将棋倶楽部24で最高レーティングを誇る、コンピュータ将棋ソフト(電脳)でありかつ振り飛車党のHefeweizen。
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2018年5月に行われた第28回コンピュータ世界コンピュータ将棋選手権(WCSC28)で優勝した、Hefeweizen。ドイツ南部の酵母入りビールで、濁った白ビールだそうです。このHefeweizenがWCSC28で優勝して以降、異なるスペックだそうですが将棋倶楽部24に参戦しています。
第1図は後手がこのあと居飛車穴熊にするか美濃囲いにするか、という局面。先手は揺さぶりをかけにいきます。
第1図以下の指し手
▲5六銀 △4四銀
▲7五歩 △5二金右
▲5九角 △4二角
▲7五歩 △同 歩
▲同 飛 △7三歩
▲7六飛 (第2図)
7筋歩交換
Hefeweizenは▲7五歩と突いて石田流に組み換えにいきました。
△4二角のところでは、△8四飛と上がって7筋の歩交換を防いだ方が優ったようで、以下▲9五角と上がって一局です。
本譜は7筋の歩交換を果たし先手が技をかけやすい局面となりました。
第2図以下の指し手
△3二銀
▲5八金左 △5五歩
▲6七銀 △8四飛
▲7二歩 △5三角
▲7七桂 △6四歩
▲6五歩 (第3図)
手筋▲7二歩
△5五歩に平然と▲6七銀。手損となりますが、突かせ得とHefeweizenは考えているようです(Hefeweizenに搭載されている振り飛車定跡の引用元であるHoneywaffleも同様)。銀が引いたおかげで後述する反撃の筋が生じます。
そして飛車が浮いた瞬間に▲7二歩。隙あらば▲7一歩成を狙い、相手の無理な動きを誘う手筋の一着です。後手は△5三角と上がって受けざるを得ません。なお△7四飛という勝負手もありますが、▲7七飛!△同飛成▲同桂△7九飛▲7一歩成で先手良し、が私所有のソフトの推奨手順です。
本譜に戻って、桂跳ねを阻止する△6四歩に手を休めず▲6五歩とこじ開けにいきます。
第3図以下の指し手
△4五銀
▲6六銀 △4四角
▲6四歩 △同 飛
▲6五銀 △8四飛
▲6四歩 (第4図)
6筋にも爆弾を設置
第3図以下△6五同歩と取ってしまうと、▲同桂のあと▲7一歩成から▲7三桂成の攻めがあります。
△4五銀は△5六歩の他に△5四銀と形良く引く手も見せており、続く△4四角は△4五銀と立って空いた絶好の位置に角がのぞく一手であり、振り飛車側はその好形に動揺してしまいそうです。
しかしHefeweizenはおかまいなしに▲6六銀〜▲6五銀と進出し、6四にも爆弾を設置することに成功しました。
第4図以下の指し手
△3五歩
▲4六歩 △3四銀
▲5六歩 △同 歩
▲4八角 △8二飛
▲5四銀 (投了図)
あっさり受けなしに
冷静に第4図を見ると、後手は銀を5四に引けなくなっており、逃げ道を作る△3五歩は仕方ありません。
そして▲5六歩から▲4八角が決め手(先に▲4八角でも同様の展開)。仕方のない△8二飛に悠々▲5四銀と上がって、▲6三歩成と▲7一歩成が同時に受からなくなってしまいました。投了もやむを得ません。
自然な手筋の絶妙な組み合わせ
一局を振り返ると、7筋歩交換によりやや有利に立ったHefeweizenは、手損の▲6七銀引を除けば特別な手筋を繰り出している訳ではなく、その局面局面で有段者ならば思い浮かぶ手筋を指しているにすぎません。
POINT
- ▲7二歩の垂らし
- ▲6六銀から▲6五銀
- 飛車の横利きを活かした▲4六歩
- ▲5六歩と突けることを活かした角転換
しかし、その組み合わせがあまりにも絶妙なのでしょう。人間の高段者同士の対局ならば、終盤はおろか中盤すら無いような将棋になることはまれです。恐ろしい強さです。
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