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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

「1手ずつ解説する三間飛車」ひとくちレビュー

ビギナー
目次

「1手ずつ解説する○○」シリーズ第3弾

「1手ずつ解説する三間飛車」のひとくちレビューをお送りします。

西川和宏 (著) 発売日:2021/4/13

「1手ずつ解説する四間飛車」「1手ずつ解説する角換わり棒銀」に続く、「1手ずつ解説する○○」シリーズの第3弾がこの「1手ずつ解説する三間飛車」です。

著者は西川和宏六段。三間飛車を多用する振り飛車党の一人です。

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数多くの戦型を解説

本書の目次は以下の通り。

本書の目次

第1章 角道を止める先手三間飛車
第1節 対急戦編
第2節 対持久戦編

第2章 升田式石田流

コラム 棋士の1週間と勉強法

すべて三間飛車を先手番として解説しています。

目次がシンプルで、かつ「1手ずつ解説」なので、戦型をしぼってじっくりと「狭く深く」解説する内容に一見思えますが、実際には数多くの戦型を解説しており、

解説されている戦型
  • 対居玉急戦(△6五歩早仕掛け)
  • 対△5三銀左ナナメ棒銀
  • 対二枚銀急戦
  • 対腰掛銀急戦
  • 対居飛車穴熊・石田流組み換え
  • 石田流乱戦
  • 升田式石田流
  • 石田流本組み
  • 石田流対棒金

など、驚くほど盛りだくさん。

ただし、各戦型の変化の解説はさすがに少なめです。

1ページあたり2つの局面図

すべてのページで、大き目の局面図1つと小さめの局面図2つが載る構成となっています。また、指し手の重要度に応じ一手毎の解説に長短があります。

一手毎にていねいに解説しているので、局面の進行に対し解説が追い付かないことになりそうなものですが、1ページに載せる手数を少なめにすることでバランスがとられています。

基本的に初級者~級位者向けだが

本書は、しっかり囲って筋良く戦う指し回し、いわゆる「さばき」を重視した手順をメインに解説しています。

しかし、上述の通り双方玉を囲う前にいきなり△6五歩と仕掛けてくる超急戦や、石田流の乱戦(参考1図。以下△8八角成▲同銀△4五角と進む乱戦定跡)も解説しており、これはやや難易度が高い、というか初級者が目をそむけたくなる変化だと思います。

【参考1図は5手目▲7八玉まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v玉 ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=5 ▲7八飛まで

個人的にはこれらの超急戦や乱戦は、初級者・級位者向けの棋書ならば載せなくてもいいのではと感じましたが、西川六段は「まえがき」で以下のように述べています。

「乱戦が嫌い」、「まずはゆっくり囲いたい」という方も多いと思いますが、将棋は相手のいるゲームなので、いつも自分の好きな展開になるとは限りません。相手が居玉で攻めてきたり、駒組みの途中で仕掛けてきたらそれに対応しなければならないので、本書ではそういった速攻への対処の仕方も紹介いたしました。

プロ棋士として、三間飛車を指せるようになりたい数多くのアマチュアを指導する中で、超急戦対策や乱戦は避けて通れないものであり、解説は必須、という経験に基づく判断なのでしょう。

ちなみに私も超急戦で仕掛けられるのは嫌なのですが、居玉急戦に対する受けが載っている棋書はまれで、おそらくはじめて見る解説手順だったので、とても参考になりました。

1手1手しっかりと並べて学びたい方に

1手1手にしっかりとした解説が付いている、「1手ずつ解説する三間飛車」。

難易度が高めのさばきの手順も一部含まれますが、三間飛車を指すうえで避けては通れません。

1手1手の解説を読んでポイントを理解すれば、類似の局面・未知の局面でも筋の良い正しい一手を指せるようになるでしょう。

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