藤井聡太七段、王位戦挑戦者に
2020年6月23日に行われた第61期王位戦挑戦者決定戦、▲藤井聡太七段 対 △永瀬拓矢二冠戦にて、藤井七段が勝利を収め、棋聖戦に続いてタイトル挑戦を決めました。おめでとうございます。
棋譜と詳しい解説は、王位戦中継サイトや将棋連盟ライブ中継アプリ、AbemaTV将棋チャンネルで観ることができます。
振り返ると、藤井七段と永瀬二冠は、それぞれ王位戦挑戦者決定リーグの白組と紅組で1位となり、挑戦者決定戦に進出しました。合計12名しか進出できない、ハイレベルなリーグです。
鈴木大介九段、奮闘
今期の王位戦挑戦者決定リーグに進出していた振り飛車党は、菅井竜也七段と鈴木大介九段。それぞれ白組と紅組で挑戦者決定戦進出を目指しましたが、かないませんでした。
そして今回注目したのが鈴木大介九段。「振り飛車御三家」の一人(残る二人は久保利明九段と藤井猛九段)として知られ、現在日本将棋連盟の常務理事を務めています。
多忙を極めているはずですが、今期見事予選を勝ち抜いてリーグ入りを果たしました。
挑戦者決定リーグでは2勝3敗の結果となりましたが、予選勝ち抜き含め、大健闘といえるのではないでしょうか。
鈴木九段のミレニアム対策
鈴木九段は王位戦挑戦者決定リーグ5局をすべて四間飛車の出だしで戦いましたが、途中で三間に振り直す将棋が多く、三間飛車党にとって勉強になることが多い内容だったと思います。
とりわけ6月13日に行われた佐藤秀司七段戦では、佐藤七段の後手△4四角型ミレニアム(トーチカ)に対し、先手ノーマル四間飛車から石田流に組み替える戦術を採用。飛車振り直しの手損分を考慮すると、先手居飛車ミレニアムに対し後手三間飛車から石田流に組み替えた計算です。
三間飛車に対し居飛車がミレニアムに組む将棋はあまり見られませんが、その理由の一つはミレニアムに対する石田流組み換えが優秀だから、というのがあるのではないかと思います。
カナ駒が玉側に偏るミレニアムに対し、鈴木九段は石田流組み換えから角で相手の飛車をにらみつつ、歩をさばきながら飛車を縦横無尽に利かせました。
そして中終盤戦あたりで飛車を右辺に展開し玉頭攻めを開始。そのまま最終盤まで玉頭戦が続くことになりましたが、優勢になってから終始安定した指し回しを見せた鈴木九段がそのまま押し切って勝利しました。
鈴木九段の筋の良い指し回し
5月18日に行われた第70期王将戦一次予選、松尾歩八段戦にて、持ち時間3時間の対局でわずか20分の消費時間で勝利してしまった鈴木九段(戦型は、先手・松尾八段の居飛車左美濃からの銀冠に対し、後手・鈴木九段のノーマル三間飛車からの石田流組み換え)。
このほかにも少ない消費時間でバンバン飛ばす将棋が目白押しです。
昔から、玉をしっかり囲って筋の良い王道の指し回しを好む鈴木九段は、少ない消費時間でも急所に手が伸びるのでしょう。
アマチュアにも理解しやすい将棋を指す鈴木九段の棋譜は、棋力アップに効果的といえるのではないかと思います。
参考:評価値グラフ
※棋譜解析エンジン / 評価関数:
YaneuraOu NNUE 4.89 / 振電改
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