第3回AbemaTVトーナメント
現在(2020年春)ABEMAにて放送されている第3回AbemaTVトーナメント。
すでに本戦トーナメント進出を決めているチーム振り飛車(久保利明九段+菅井竜也八段+今泉健司四段)をはじめ、12チームが凌ぎを削っています。
阿部光瑠六段の裏芸・三間飛車
チーム振り飛車が全局振り飛車(三間飛車も多数)で戦っているのはもちろんですが、それ以外では先日放送された予選Bリーグ、チーム天彦(チームまったり)VSチーム稲葉(チームインビクタス)での阿部光瑠六段 対 佐々木大地五段戦における阿部六段の三間飛車には目を見張りました。
阿部六段は若干16歳5か月で四段に昇段した俊英です。基本的に居飛車党ですが、たまに指す振り飛車(ノーマル三間飛車が多い印象です)でも絶品の味を見せています。
阿部六段の振り飛車については、三間飛車党の山本博志四段も過去に以下のようにつぶやいています。
こーるさんの振り飛車はたまにしかやらないのに絶妙に上手いし終盤に秘術が出て大体勝ってるので嫉妬しますね〜
— 山本 博志 (@yamahiro3ken) August 28, 2019
阿部六段 対 佐々木大地五段戦では、阿部六段が2局ともノーマル三間飛車を採用しました。
それぞれの対局中継動画はABEMAのWebサイトで無料で観ることができます(5月5日時点)。
ノーマル三間VSエルモ囲い右四間飛車
一局目の居飛車天守閣美濃からの米長玉VSノーマル三間飛車△5三銀型からの石田流組み換えの一戦も見事でしたが、とりわけ二局目のノーマル三間飛車VSエルモ囲い右四間飛車が、戦型的にも見応えがありました。
エルモ囲いと右四間飛車を組み合わせた「エルモ囲い右四間飛車」は、2018年ごろから現れた戦法です。
初のエルモ囲い右四間の解説書
2020年6月に、初めての専門解説書が発売されることが決まっています。著者は、元奨励会三段でアマチュア名人とアマチュア王将を獲得している鈴木肇アマです。
鈴木肇アマは、2019年3月に行われた第5期叡王戦・アマチュア代表決定戦、▲森村賢平アマ王将 対 △鈴木肇アマ名人戦にて、森村アマ王将の先手石田流に対し後手エルモ囲い右四間で戦っており、この一局に勝利した鈴木アマ名人が第5期叡王戦にアマチュア代表として出場した、という経緯があります。
佐々木大地五段のエルモ囲い右四間
エルモ囲い右四間飛車は、コンピュータ将棋ソフトに慣れ親しんだ若手プロ棋士が主に採用する傾向があり、佐々木大地五段もその一人です。例えば2020年1月に行われた順位戦C級2組の▲南芳一九段戦でも、南九段の先手ノーマル三間飛車に対しエルモ囲い右四間を採用し勝利していました。
とはいえ森内俊之九段も以下のようにつぶやいており、ベテラン棋士にとっても興味深い戦法であることは間違いありません。
この阿部-佐々木戦(2回戦)は、右四間エルモ囲いじゃないですか!
6月23日に発売になる鈴木肇さんの『振り飛車を一刀両断!右四間飛車エルモ囲い』に詳しく書かれています。私もこれで勉強するつもりです。
(森内俊之) pic.twitter.com/GIHssOqfA7— ◇チーム康光◇第3回AbemaTVトーナメント (@TeamYasumitsu) May 2, 2020
プロ棋士も絶賛の勝利
話を阿部六段と佐々木五段の一局に戻すと、阿部六段は佐々木五段の右四間の仕掛けに対し自然なさばきを見せ、そして端攻めに対し見事な切り返しで逆襲して勝利しました。
この勝利には、チームメイトの佐藤天彦九段と斎藤慎太郎八段だけでなく他のプロ棋士からも絶賛の声が上がっていたようです。
三間飛車党にとって参考になる一局であることは間違いないでしょう。
チームまったりは、阿部六段だけでなく全員が2連勝で圧勝。この先も快進撃が続くかもしれません。
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