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石田流VS4手目△4二玉・乱戦定跡
3手目▲7五歩に対する4手目△4二玉(第1図)。先手石田流に対する定跡のひとつです(他には△8四歩、△5四歩、△1四歩など)。
第1図以下▲6六歩と突き、石田流▲7七角型VS左美濃に進むのが平成後半の基本定跡です。
が、▲6六歩の代わりに▲7八飛とすると、△8八角成▲同銀△4五角▲5八玉△2七角成▲7四歩△同歩▲5五角△3三桂▲7四飛(第2図)と、大駒が乱舞する乱戦定跡に進みます。
第2図以下△9二飛、△7三歩、△6四歩が定跡です。詳しくは「石田流道場(東大将棋ブックス)」などを参照ください。
Hefeweizenも指す形
この乱戦定跡は先手不利とされているのですが、将棋倶楽部24でHefeweizenは平然と(?)指しています。
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Hefeweizenの三間飛車(6)先手石田流VS4手目△4二玉・乱戦
将棋倶楽部24に参戦中の振り飛車党コンピュータ将棋ソフト、Hefeweizen(別名「白ビール」)。2019年7月、Hefeweizen(とKristallweizen)開発者の一人であるたまさんが、Hefeweizenが24で勝利した対局の棋譜を集めた棋譜集を公開しました。
経験値勝負に持ち込めるので、私もこの形を好んで指しています。
居飛車の定跡外し
ところが、先日10秒将棋で指されたのが以下の手順。
第2図以下の指し手
△4九馬
▲同 玉 △6四金(第3図)
玉を薄くされて△6四金。
知らない手順で焦ってしまい、とりあえず▲6四同角△同歩▲同飛で6一の金取りの先手をかけて、受けてくれたところで考えられる・・・と思っていたところで△6二飛のぶつけ。
これで完全に頭がフリーズしました。とにかくまた先手を取ろうと▲6三金と打ってしまい、△2七角(王手金取り)で投了となりました。
▲6三金に代えて▲6二同飛成〜▲3八玉、または▲6四同飛のところで▲3八玉、でほぼ互角だったようです。
第1図以降、相手はノータイム指し。研究手順だったのでしょう。
正着手順は
我が家のコンピュータ将棋ソフトを活用して検討してみたところ、第3図以下は飛車ではなく角を残す▲6四同飛のほうが優ったようです。以下△同歩に▲4六角打(参考1図)として、▲6四角や▲3六歩〜▲3五歩〜▲3四歩を狙っていくのが人間的にわかりやすい順となります。
以下△2五飛にはじっと▲3八銀として、△2八飛成には▲3六歩で龍を追い返してから2枚の角で左辺をいじめることができます。
▲4六角打のところでは▲6三角(参考2図)という手もあります。
参考2図以下、△2五飛には▲3三角成△同玉▲4一角成。△5二金右には▲3六角成と馬を作っておいて先手やや良しのようです。
2020年7月追記:石田流定跡ガイドに載っていた
定跡書を読み返していて、本譜の△4九馬から△6四金が「早分かり石田流定跡ガイド」(所司和晴七段 著)にわずかに載っていることに気付きました。
また、本記事で説明した正着手順とは異なる手順で先手良しとなっていました。
悲観しすぎる必要はないのかもしれませんが、先手は玉が薄く、流れ弾にも当たりやすいので、実戦的には非常に難しいと思っています。
恐ろしいが魅力的な乱戦
本譜のように、なんの力も出せずに将棋が終わってしまう可能性があるのが、盤面を飛車角が乱舞する乱戦の恐ろしいところです。
しかし、ハラハラドキドキのスリルを味合うことができるのもまた魅力。
乱戦は、基礎知識や手筋が身に付きにくいと思うので、将棋入門者や級位者にはオススメしません(しっかり囲って戦うのをオススメします)が、有段者には道なき道で盤面を広く見て崖に転落しない力が鍛えられるので有効と考えています。
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