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三間飛車党の大御所、石川陽生七段
第3期叡王戦、菅井竜也王位 対 石川陽生七段戦。
石川七段は三間飛車を多用する振り飛車党大御所の1人。
「振り飛車党宣言〈2〉新感覚の三間飛車」の著者、そして昨年発売の「将棋戦型別名局集4 三間飛車名局集」100局の選局者兼解説者でもあります。
振り飛車党同士の対局となった本局では、先手・菅井王位が3手目に▲2六歩と突き居飛車で行くことを明示したため、菅井王位の居飛車 対 石川七段のノーマル三間飛車のオープニングとなりました。
対トマホーク 意表の手損美濃囲い構想
菅井王位が居飛車穴熊を目指しに行くのを見て、石川七段が端歩の突き越しから△9三桂としました(第1図)。
△5一玉・△7二銀型であり、典型的なトマホークの形(△6二玉・△7一銀型)とは少し異なります。
ここからの菅井王位の構想が独特でした。
第1図以下の指し手
▲7八銀 △8四歩
▲7九玉 △8五桂
▲8八角 (第2図)
忙しい局面ながら、すぐに玉は移動せず、▲7八銀と上がってから▲7九玉と構えました。
▲9八香との組み合わせが異質ですが、それでも美濃囲いは優秀、という現代的な構想です。
関連棋書
タップダイス,信玄m@ster TOKIDA 2017-03-24
小倉 久史 (著), 山本 博志 (著) 発売日:2017/10/17
「トマホーク解体新書」はもちろんですが、新刊「三間飛車新時代」でも大々的にトマホークが解説されます。
陽動居飛車からの超乱戦
第2図から少し進み、後手は飛車を8二へ振り直し、陽動居飛車の構想を見せます(第3図)。
これまたすごい構想です。
早めに△7二銀と上がり△8四歩と突いていることから、早い段階で石川七段の頭の中には、左銀による玉頭銀ではなくこの陽動居飛車もあったのかもしれません。
結果は、持ち時間の短い乱戦らしく、短手数で菅井王位の勝利(第4図)。
先手の持ち駒は桂と香しかありませんが、▲6六桂、▲5五香、▲4五竜を同時に受けるうまい手がなく、投了はやむを得ません。
序中盤の激しさだけでなく、先手から見て右辺の両者の桂香が動きも取られもせず、先手の飛車も不動、かつ最終的に先手は居玉、という投了図も印象に残りました。
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