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戸辺誠七段が発案
「4→3戦法」とは、3・4・3戦法(「石田流の基礎知識 3・4・3戦法とは」参照)に影響を受けた戸辺誠七段が発案した新手・新戦法です(第1図)。
3・4・3戦法と同じく、「後手番で石田流を目指す」という発想から生まれた戦法で、序盤の乱戦をできるだけ避け、より安定感を高めています。
戸辺七段は、この4→3戦法の戦術書を執筆しています。
ネーミングの由来と着想
3・4・3戦法の数字のもとが
POINT
- 最初の「3」・・・△「3」五歩
- 「4」・・・△「4」二飛
- 最後の「3」・・・△「3」二飛
だったのに対し、4→3戦法の「4」と「3」のもとは以下の通りです。
POINT
- 「4」・・・△「4」二飛(第2図)
- 「3」・・・△「3」二飛(再掲載第1図)
すなわち、△3五歩を後回しにしています。
3・4・3戦法では最初に△3五歩と突いていますが、この一手を玉の整備に回した方が自陣の安定感が増すのではないか、というアイデアです。
また、普通居飛車は最低限船囲いにして自玉を安定させてからでないと▲3六歩と突きにくい(第1図や第2図のようにお互い角道が通っているとなおさら突きにくい)ので、後手は△3五歩を急ぐ必要はありません。
居飛車の指し手に合わせて柔軟に対応可能
他のメリットとして、居飛車に角道を止められたケースへの対応が挙げられます。
3・4・3戦法だと、居飛車に角道を止められると、早々に突いてしまっている3五の歩が傷になることがありえますが、4→3戦法の場合は△3五歩を急いでいないため、ノーマル三間飛車にするか、あるいは間に合う形であれば△3五歩から石田流を目指すか、状況に合わせて選択することができます。
面白い構想としては、向かい飛車から速攻を仕掛けることもできます(第3図)。
他には、△3二飛と寄る前に居飛車から角交換をしてきた場合、または気が変わって後手から角交換をした場合、角交換四間飛車にシフトすることも可能です。
升田式石田流にこだわらなくてもよい柔軟性がある戦法といえます。
▲2四歩対策は必須
もちろんいいことずくめではありません。
比較的安定しているといっても、いろいろなタイミングで居飛車が▲2四歩と仕掛けてくることが考えられ(例えば参考1図)、これらへの対応策を準備しておくことが必要です。
基本的には升田式石田流における受け方と同様ですが、△3五歩と突いていないことによる影響などを把握しておかなければなりません。
▲2四歩対策については、上述の「振り飛車4→3戦法」で詳しく解説されており、読んでおくのが無難です。
後手番で石田流を指したい方に
4→3戦法は、後手番で(升田式)石田流を指したい方にうってつけです。
かつ、石田流にこだわる必要はなく、柔軟な序盤戦術をとることが可能です。
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